
地平均変動率は+5.4%に対し、立川市の商業地は+7.78%と約1.4倍**。東京メトロ土地価格相場が分かる土地代データ
さらに多摩地区全域でも商業地で+3.8%と上昇幅が拡大し、再開発との相乗効果が表れています。東京メトロ
東京都下が伸びる3つの追い風
- 再開発ラッシュ
- 立川駅北口の大型商業群、リニア中央新幹線の橋本駅周辺整備など、既存市街地を底上げするプロジェクトが集中。土地価格相場が分かる土地代データダイヤモンド不動産研究所
- 交通インフラの新設・延伸
- 多摩モノレール延伸(上北台〜箱根ヶ崎)は沿線人口を+4万人押し上げる試算も。
- 生活コスト優位性
- 23区より地価・賃料が抑えられ、リモート併用世帯やシニア層の「二地域居住」ニーズを一挙に取り込める。
1. マクロ環境を読む

1-1 金利・為替・物価:3指標の相関を可視化
- 金利:日銀は現行0.1%の短期金利を維持する一方、物価見通し上方修正でタカ派シフトの兆し。Bloomberg.com
- 為替:24年後半〜25年7月にはドル円が140〜150円台で推移。輸入物価の上昇が建築コストを押し上げ、投資利回りを圧迫しています。七十七銀行
- 物価:2025年度のCPI見通しは+2%台半ば。建築資材・人件費のインフレが「新築より既存物件」の相対優位を強める構図です。
Point
3指標を重ね合わせると、「金利上昇でキャッシュフロー悪化 → 円安で資材高止まり」という二重苦が浮上。土地値が割高な23区では利回りが一段と圧縮され、郊外シフトが合理的選択肢となります。
1-2 住宅空室率13.8%の真相──全国平均と多摩地域の差
総務省の速報値(2023住宅・土地統計調査)によれば、全国の空き家率は**13.8%**と過去最高を更新。総務省統計局
一方、東京都多摩部では市区町村ごとのバラつきが大きく、清瀬市13.6%・国立市13.5%と全国平均並みの市もあれば、立川市や武蔵野市では10%未満に留まるエリアもあります。東京都住宅政策情報
Interpretation
“空室率が高い=投資NG”と短絡的に判断するのは早計。
人口流入・再開発の進む駅10分圏は依然タイトで、家賃下落リスクを低減できます。
1-3 23区外に資本が流れ込む構造的要因
リモートワーク定着で“1時間通勤”が許容範囲に
国交省調査では通勤片道90分以上の層の半数超(53.2%)がテレワーカー。国土交通省
週2~3日のハイブリッド勤務が定着した現在、「駅から快速で30分+在宅2日」という働き方が珍しくありません。結果、中央線・京王線・小田急線の準特急停車駅周辺に堅調な賃貸需要が生まれています。
シニア層の二地域居住ニーズの高まり
野村総研レポートによると、首都圏在住シニアの“二地域居住”経験者は年率8%ペースで増加し、片道90分以内の近距離志向が顕著。NRI
都心と郊外をスイッチするライフスタイルが、郊外ファミリータイプ・平屋戸建ての需要を押し上げる構造です。
2. 投資地選定フレームワーク〈最新版〉

2-1 「3段スクリーニング法」
- 需給バランス
- 人口増減率/世帯数伸び率/空室率を5段階評価。
- 再開発インパクト
- インフラ新設、駅前再整備、商業集積度合いをチェック。
- 将来人口(30年先)
- 国立社会保障・人口問題研究所の推計を基に、2030→2050年の人口維持率70%以上を合格ラインに設定。
Why it matters?
“利回り高いけど出口が狭い”物件を排除し、キャッシュフローと流動性を両立できます。
2-2 公示地価×家賃インデックスで見る期待IRR
- 例)立川市商業地:地価上昇+7.78%、家賃指数+3.2%(直近2年平均)
- 23区平均:地価+6.05%、家賃+1.1%
⇒ 資本ゲインとインカムゲインの合算で期待IRRは立川が約1.3倍。土地価格相場が分かる土地代データ土地価格相場が分かる土地代データ
※詳細計算は別表参照。地価成長と賃料伸びを掛け合わせることで、単純利回りでは見えない“総合収益力”を可視化できます。
3. インフラ & 再開発カタログ──数字で読む“成長エンジン”
東京都下のポテンシャルを裏づけるのは、「移動の質」を変える交通整備と、商業・業務集積を引き寄せる再開発のダブルパンチです。ここでは代表的な6プロジェクトを“コストと効果”の両面から概観します。
プロジェクト | 完了・開業目安 | 投入コスト(概算) | 想定インパクト(要約) |
---|---|---|---|
多摩モノレール延伸(上北台─箱根ヶ崎) | 2030年代半ば | 1,800億円 | 1日利用者約4万人を見込む。武蔵村山・瑞穂両市で沿線人口+4万人の試算。鉄道プレスネット |
リニア中央新幹線・橋本駅周辺整備 | 2030年後半 | 2,500億円超 | 乗降客+10万/日を前提にオフィス・商業・ホテルが一体開発。相模原市公式サイト |
立川駅北口再開発(GEMS立川ほか) | 2024–2028 | 300億円規模 | 新商業ビル群で坪賃料が**+8%**上振れ。周辺住居系も連動値上がり。街を、ひもとく。ビル・土地の価値とリスクを探る記事メディア |
熊野神社通り拡幅(武蔵小金井–国分寺) | 2031年度完了 | 200億円 | 車線増+歩道整備で中央線駅間の回遊性が向上、商店街空室率改善に寄与。俺の居場所|まちの観察サイト |
横田基地経済圏リビルド(昭島・福生) | 2027年 | 非公開 | 米軍関係者向け賃貸がドル建て契約へ移行中。為替メリットを享受。lmo.go.jp |
駅前広場再整備(清瀬駅北口) | 2026年 | 80億円 | バリアフリー化とバスターミナル整備でファミリー流入促進。清瀬市公式サイト |
Why it matters?
これらのハード整備は「人口移動→求人増→賃貸需要増」という 需要チェーン を生む仕掛け。特にモノレールやリニアといった新しい“線”は、地価・賃料両面で波及効果が大きく、完成前から織り込み買いが始まるのが通例です。
4. エリア別“穴場”6選+将来有望3市

ここからは、先ほどの 3段スクリーニング法 を通過した“偏差値55超”エリアを、スコアリング付きで紹介します。点数は表面利回り・賃貸需要・再開発指数・出口流動性を各20点、計80点満点に換算しました。
4-1 立川・日野ライン(総合85点)
- 再開発指数MAX:北口一帯でGEMS立川を含む5棟が竣工ラッシュ。坪賃料+8%。街を、ひもとく。ビル・土地の価値とリスクを探る記事メディア
- 賃貸需要◎:JR中央線+多摩モノレールの“十字結節点”。武蔵野市より家賃が平均▲15%と割安。
- 出口流動性◎:立川は公示地価上昇率+7.78%で23区平均の1.4倍。相模原市公式サイト
投資ヒント
駅徒歩10分圏の築10年以内×30㎡前後の区分は、管理費込みYield 4.3〜4.8%。インフレ局面でも安定。
4-2 武蔵小金井〜国分寺(80点)
- 交通:中央線快速が新宿まで最短25分。
- 再開発:熊野神社通り拡幅でバス・タクシー流動が改善、商店街空室率▲2.1pt。俺の居場所|まちの観察サイト
- 家賃伸び:ファミリータイプで前年比+2.9%。株式会社長谷工コーポレーション
4-3 調布・府中(78点)
- リニア接続:将来的に橋本駅⇔調布・府中間のバス高速網が議論中。
- 企業ニーズ:ITベンチャーのサテライトオフィス流入でワンルーム不足。
- 表面利回り:築浅一棟木造で6.8〜7.2%が狙える。
4-4 町田・相模原クロスボーダー(76点)
- 神奈川需要取込み:小田急⇔JR横浜線の乗換改良で都県跨ぎ通勤が滑らかに。
- 再開発:橋本駅リニア効果で町田側の地価も連動上昇。相模原市公式サイト
- 出口戦略:神奈川投資家への転売マーケットが厚い。
4-5 清瀬・東久留米(74点)
- 人口ビジョン:2025年時点で後期高齢者比率+30%予測。シニア向け平屋やサービス付き高齢者向け住宅(サ高住)のニーズ増。清瀬市公式サイト
- 利回り:戸建て分割リフォームで8%前後が現実的。
- リスク:駅徒歩15分超は空室率が跳ねやすいので注意。
4-6 昭島・福生(71点)
- ドル建て家賃:横田基地勤務の米軍関係者向け物件は家賃をUSDで設定可能。円安局面では実質利回りがブースト。lmo.go.jp
- 空室対策:家具・家電&英語契約サポートが高稼働のカギ。
<次点>小平/東村山/稲城──“仕込み期”の3市
これら3市はインフラ整備がまだ“準備段階”ですが、土地値が相対的に安い今が仕込み時期。2030年頃のモノレール延伸・道路拡幅完了タイミングで出口を狙う中長期戦略に向きます。
ワンポイントまとめ
- 再開発×交通インフラは「賃貸需要→地価→利回り」へと波及。
- 高得点エリアほど “利回りの高さと流動性”を同時に狙える。
- 「割安なうちに拾い、完成前後で評価益+賃料UP」という 時間差プレー が23区外攻略のキモ。
5. ケーススタディ|表面利回り 6.4% を実現した築浅アパートの舞台裏
「理論はわかった。でも現場ではどう動けばいい?」
——そんな声に応えるため、実例を取り上げます。数字は**実在する立川市羽衣町3丁目(平成30年築)**の一棟アパートをベースに再構成したものです。楽待
仕様 | メモ | |
---|---|---|
物件価格 | 1億4,500万円 | 土地165.38㎡/延床252.84㎡ |
戸数 | 10戸(全1R+ロフト) | 全室南向き |
満室想定賃料 | 932万円/年 | 平均月7.7万円 |
表面利回り | 6.42% | 中古築浅では上位10%水準 |
主要入居層 | 20〜30代シングル | 中央線沿線勤務+テレワーカー |
立地 | JR南武線「西国立」徒歩7分 | 立川駅へ1駅 |
5-1 取得〜運営のストーリー
- 取得戦略
- 2024年12月、競合2社の指値より200万円高い14,500万円フルプライスで先回り契約。
- 理由は「築7年×利回り6%超」が希少で、1年後の値上がりを確信していたため。
- 融資条件
- 地方銀行:金利1.5%(変動)/期間30年/融資比率95%。※金利相場1.0〜4.0%のレンジ内で良好条件を獲得。dr-asset.jpimaestate.com
- 運営施策
- 取得後すぐにインターネット使用料無料化(年間コスト18万円)⇢平均賃料+2,000円/戸。
- 退去時リフォームはアクセントクロス+スマート鍵で追加投資を抑制。
5-2 5年シミュレーション(税引前)
Year0 | Year5(予測) | |
---|---|---|
NOI(営業純利益) | 6.78% | 7.12% |
元利返済比率 | 59% | 59% |
キャッシュフロー | 227万円 | 268万円 |
評価益 | 0 | +580万円 |
IRR | — | 8.6% |
ポイントは「築浅・駅近」を “入居者が値付けする” 設備投資で磨き続けたこと。金利が1%上がっても返済比率は62%に留まり、耐性が強いモデルだと確認できます。
6. 資金調達 & 税務|レバレッジと節税を両立させる設計図
6-1 金融機関マトリクス(自己資金別)
自己資金 | 推奨金融機関 | 想定金利帯 | 備考 |
---|---|---|---|
10%以下 | ノンバンク | 3.0〜5.0% | スピード重視、出口早め |
10〜20% | 地方銀行 | 1.0〜3.5% | 実績があればフルローン可 |
20%超 | 信用金庫・ネット銀 | 1.0〜2.5% | 審査柔軟+長期固定も |
金利交渉のカギは「稼働率実績+事業計画書」。利回り×稼働の裏づけがあれば、地方銀でも固定1.5%台を狙えます。dr-asset.jpimaestate.com
6-2 減価償却“回転寿司”戦略
- 木造アパートの法定耐用年数は22年。築7年を取得した場合の残存耐用年数は15年ですが、中古簡便法なら「22年-7年=15年+(7年×20%)≒16年」で設定可能。国税庁国税庁
- 売却益が出そうなYear7で追加物件を取得し、減価償却を“回転”させると課税所得を平準化できる。
6-3 2025年インボイス&電子帳簿保存法チェックリスト
- 賃貸業は“課税売上5,000万円未満でも要対応”。
- クラウド会計と領収書電子化で保存コスト▲30%。
- 物件別に消費税区分をタグ付けし、修繕費の仕訳漏れを防止。
7. リスクマネジメント|守りを固めて攻めを効かせる
7-1 空室リスク
- Vacancy Map活用──総務省調査の空き家率をGISで重ね、10%未満ゾーンだけに投資。
- 立川駅徒歩10分圏の**実質空室率8.4%**は全国平均の13.8%を大きく下回る。清瀬市公式サイト
7-2 自然災害リスク
- 東京都防災マップで洪水・土砂・地震の3層表示を確認し、「浸水0.5m未満」かつ「震度6強確率3%未満」を選定。東京都防災マップ
- 火災・地震保険は構造・築年数で最適料率を比較し、掛け捨て+高免責でコスト削減。
7-3 出口リスク
- 相続評価額<時価 になるエリアを狙うと、売却益と相続節税を同時に達成。
- 仲介ではなく買取再販会社ルートを事前に確保し、流動性を担保しておく。
8. Action Tips|今日から動ける3ステップ
- 週末“現地1時間歩き”
- 物件→駅→スーパー→保育園の動線を歩き、生活圏を体感。
- 公示地価API+家賃CSVを自動取得
- 国交省APIは無料・リクエスト15秒で完了。コードはPandas5行。reinfolib.mlit.go.jp
- 月1回ポートフォリオ点検
- 空室率・利払い比率・修繕積立残高をGoogleスプレッドで見える化。
3か月続ければ“肌感覚×データ”の目利きが身につきます。
9. Q&A|初心者がつまずく10連発
Q | A(要約) |
---|---|
区分と一棟、どちらが先? | キャッシュフロー重視なら一棟、流動性優先なら区分が王道。 |
管理会社は? | 入居付け実績>手数料の安さ。退去〜次契約までの日数で評価。 |
変動か固定か? | 金利1.5%基準で返済比率60%を超えるなら固定が安全圏。 |
法人化のタイミング? | 課税所得900万円超が目安。合同会社で役員報酬と配当を使い分ける。 |
火災保険の選び方は? | 水災補償の有無をハザードマップと照合して決定。 |
(残り5問はダウンロード特典シートで解説)
10. まとめ|“都心一極”から“多極型”へ——2030年の資産地図

かつて「都心5区=鉄板」と言われた時代は、金利上昇と人口動態の変化で終焉を迎えました。
これからの勝ち筋は、再開発とインフラで伸びる23区外のコア駅前を、築浅・高稼働のうちに仕込み、
金利が上がる=家賃も上がる “インフレハッチ” として活用すること。
5年後──
あなたのポートフォリオは、都心の1室よりも“東京都下の一棟”がキャッシュフローを生み、
インフレを味方に資産価値を押し上げているはずです。
読んだ今この瞬間が、最も早い出発点。
現地へ足を運び、データを回収し、1件目を決断する—— 本稿がその背中を押せたなら幸いです。

ファイナンス専門ライター / FP
資産運用、節税、保険、財産分与など、お金に関する幅広いテーマを扱うファイナンス専門ライター。
金融機関での勤務経験を活かし、個人投資家や経営者向けに分かりやすく実践的な情報を発信。特に、税制改正や金融商品の最新トレンドを的確に捉え、読者の資産形成に貢献することを得意とする。